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丘の上に立つミニサテライト局(右上)と、その放送波を受信する家庭のアンテナ(左下)=長崎県西海市崎戸町蠣浦郷、伊藤宏樹撮影

 放送の将来像を議論する総務省の有識者会議は22日、放送波が届きにくい地域で、代わりにインターネット回線で放送番組を届けることを許容する提言の素案を示した。

 「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」(座長=三友仁志・早大大学院教授)は、意見募集などを経て提言を取りまとめ、総務省は法整備の検討を進める見込みだ。

 放送法で、NHKには放送が全国どこでも受信できるようにする義務があり、民放にも努力義務がある。このため、山間部といった放送波が届きにくい地域では、NHKや民放は小規模の「中継局」を設置している。しかし人口減少が進む中で、その維持費が課題となっている現状がある。

 そこで検討会は、一般にウェブの閲覧などに用いられる「IPユニキャスト」という方式を、放送波が届きにくい地域で代わりに用いるのを「許容することが適当」とした。小規模中継局などを使っている一部の地域では今後、放送波ではなくインターネットで番組を視聴するようになる可能性がある。放送に準じた品質や機能を確保することや、NHKと民放の責任で行うことを前提にするという。

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